Blood Smell
しばらくの沈黙


相変わらず
挿し絵のライカンは鋭い視線を私たちに向けている



「でもっ…ライカンって、ヴァンパイアと仲悪いんですか?」



同じ怪物同士

人間みたいに有効な関係を築いていたりは…


「ありえないな。」


私の思いは途中で砕かれた
気を取り直して
さらに問いかける


「どうしてですか?」


私の問いに体勢を治し
座り心地が最高の高級ソファに背中を預ける先生

「俺たちの種族にとって、ライカンは最大の天敵。」


「天敵!?」



ヴァンパイアの天敵…?!無敵の先生達にそこまで言わせるなんて



思わず挿し絵を見つめた



「ライカンの血液と牙は…俺達を死なせる事ができる唯一の存在だ。」




「えっ!!?」



思わず顔を上げた



考えるように遠くを見つめた先生の瞳は悲しげだった
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