Blood Smell
私の言葉に先生は振り返った

その顔は
驚きと悲しげな表情であふれていた


「…ありがとう。」


私は静かにうなずいた

「先生…信じてるから。
絶対に迎えに来てね…。

……。」


そっと先生が私を抱きしめる

その体は
微かに震えていた

「約束する。
全部片付いたら、直ぐに迎えに行くよ。

…待っててくれ。」


先生の腕の中私は何度もうなずいた

溢れそうになる涙をこらえて
心の中で
伝えられない言葉を祈った


‘先生…死なないで…’
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