Blood Smell
「昨日…
若いライカン二匹と数十頭の狼が
モロス教本部を襲撃した。」


!!


その若いライカンは
きっと…斎藤君とお兄さん


「太陽が昇っていて
教皇の力が一番弱い時を狙ったんだろう

すぐにアサシンが現れて

本部は戦場と化した。」



斎藤君が戦っている姿が浮かんで
思わず目を覆った

ギュッと先生が私の肩を抱く


「日が傾くころ
勝負はついて…ライカンを含む狼たちは
…全滅した…。」



ビクッ!


体が大きく震えた


学園長先生の言葉が
頭に残る

…全滅した…



『もっと
早く中野さんに会いたかったな。』


斎藤君…


『じゃあね。』


斎藤君

赤みががった
燃える様な熱を感じる
強い瞳

二カッと笑う
屈託のない笑顔


堪え切れずに
私は肩を揺らして泣いた
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