Blood Smell
そうだったんだ
先生には恋人がいたの??

何のためらいも無く先生に触れる指
そっと抱きしめる先生の優しい腕

夢の中では私だけの腕だったのに

現実は
あの女の人のもの


涙が溢れた


必死でこらえて走り続けた



そして
生物準備室のドアを勢い良く開けた

お昼休みと変わらないままのお弁当が
ただぽつんー・・・と残されていた


その寂しさが
むなしさが

私みたいで
耐え切れなかった


お弁当を床にたたきつけた
プラスチックが弾ける音が聞こえて
中身が散らばった


「何・・・してるんですか?」


後ろから声がする
振り向かなくても分かる
聞き間違うわけがない
好きな人の声・・・

足音が一歩近づいて
私はビクっと体を震わせた
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