Blood Smell
正門を左にそれると
森の中へと延びる
細い車道が現れた


コウモリちゃんはそこを
ずんずん進んでいく


こんなところあったっけ?


三年間この学校に通っていたが

こんな道を見るのも
通るのも初めてで


私は
きょろきょろしながら歩く


「おい、もたもたするな。」


数メートル先で
コウモリちゃんが苛立ったように
声を荒げた

「だって…この道きついよ。」


そう
初めは緩やかな上り坂だったのに
途中から
傾斜の急な上り坂になり
息が上がる一方…


それに
この前痛めた
肋骨が少し痛い…


ヒビは完全に治ったわけじゃない

先生は異常に心配して
春奈との卒業旅行に
ギリギリまで反対だったし

挙句の果てには
付いていくと言い出した


もちろん
断ったけど


先生は過保護すぎるんだよね


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