Blood Smell
玄関に卸される


いつもなら
迎えてくれるはずの
学園長先生や愛子さんの姿は見えなかった

私の考えに気付いたように
先生が口を開く

「父さんも母さんも
今はイギリスに帰ってる。」


「え?
じゃあ、今…」


「父さんは卒業式まで帰ってこないから
あと一週間くらい
俺一人だな…。」



平然と言った先生


でも…


まって


二人が居ないってことは…


今日は
ずっと先生と二人きり?!



考えたとたんに
一気に全身が熱くなるのがわかった


「…鼓動が速いな…
しかも変則的だ…。


もしかして

…変なこと考えてるだろ?」



先生に心を見透かされて
さらに顔が熱くなる


もう
なんで
鼓動の音が聞こえるんだろう!!

不公平だよ!!


心で叫びながら

「そんな事ないです。」

と反論する


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