Blood Smell
「ふっ…う…」


何か言わなきゃいけないのに


心も頭もいっぱいで


何も言えず

ただ

溢れる涙を
必死で拭っていた



「冴…?
大丈夫か?」

そっと
私の顔を覗きこんだ先生の胸に
飛び込んだ


「っお!?」


強靭で固い胸板に
しっかりとしがみつく


そして
やっと振り絞った声で言った

「…はい…。」


それは
小さな小さな声だった


普通の人間なら聞き取れないくらいの声


それでも

先生になら

十分伝わるよね…


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