Blood Smell
「では、教科書のp14を開いてください。」

澄んだ声が静かに教室を満たす
私は教科書をただ開いて、先生を目で追う

「・・・このように、生物のDNAは塩基配列で並び、螺旋構造・・・」

黒板に書かれた図を指し棒が走る

先生は瞳の色も薄い
キャラメル色の髪をもっと赤黒くしたような色

でも
時折見せる氷のように冷たい表情
他の皆は気づいていないのかな?

まるですべてから生気を奪い取るような視線
その瞬間
先生と目が合う

私は背筋に何かひんやりしたものを感じた
一瞬にして鳥肌が立つ

先生は何も無かったようにまた教科書に視線を戻した


なんなの・・・?


この感覚



心臓は激しく脈打ち
手には汗が滲んだ

「それでは、今日はココまで。
次の授業までにクラスで一名授業委員を決めて・・・」

「はいっ!!私やります。」

先生が話し終わるか終わらないかのうちに私の体は動いていた
天井に向かって高く手を上げ立ち上がった

クラス全員が私を見た
クラスメイトは驚きのあまり一言も発しなかった

「・・・分かりました。
では、お願いします。」


先生はそれだけ言うと終業のチャイムと同時に生物準備室へ消えていった
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