Blood Smell
「冴ちゃん!これ12番テーブル!」

「はーい」

厨房から海の家のオーナーの声が響いた
お昼の書き入れ時は客引き専門の私と春奈も
フロアでてんてこ舞いだった

休憩時間は裏の座敷で過ごしていた

「あー春奈やけてるよ!」

「えぇ~どこぉ??
うわぁーやっちゃった・・・。」

春奈の白い太ももにショートパンツの痕がくっきりついていた

バイトのときはビキニ水着の上から
ショートパンツにタンクトップにエプロン
と春奈と二人で決めた

フランクフルトを頬張りながら
遠くから海ではしゃぐ声が聞こえてくる

季節だけが私を取り残して
楽しく過ぎていく・・・

「冴、今日はこれから泳ぐでしょ??」

春奈はすでに水着になっていた
新作の水着は春奈のために作られたかのよう

弾ける赤のドットカラーに波打つ大きなレース
谷間を強調したホルターネックは向かうところ敵なし

「ってか
すでに泳ぐ気満々じゃん?」

「早くぅー!
脱いで脱いで!!」

春奈にせかされて私も水着姿になった
去年買った白のホルターネックのシンプルなビキニ

私は無理やりテンションを上げた

「行くぞぉー!!」

春奈と二人で海の家を飛び出す

焼けた熱い砂浜の上に立って
太陽の熱と
潮の香りを一気に吸い込んだ

脳みそまで夏の熱気が伝わる


私たちは浜辺を目指して駆け出した
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