Blood Smell
ヴァンパイア
「えぇぇーーーーー?!」

開店前の海の家に春奈の絶叫が響いた
「声!!声でかいってばぁ!!」

私は一気に顔に血が上る

「だって!
だって、あの桑折先生と・・・付き合うことになったなんて!
信じらんないんだけど・・。」

春奈には昨日の出来事を話した
あ、もちろん一部は脚色してだけど

「しかも
先生自ら冴の家を尋ねてくるなんて・・・。」

ヴァンパイアだって事はトップシークレット☆
知られたら「殺さなきゃいけない」って先生が牙をむき出しで言ってた


冗談であって欲しい

もしそうでなきゃ
私はヴァンパイアの集団に殺されてしまう・・・

想像しただけで身震いした

「大丈夫?」

春奈が心配そうに聞いた

「うん。」

「でもぉ・・・河合クンどうするの?

告白されたんだしょ??」

そう
それが問題

先生とはこんな風になるなんて思ってもいなかったから
昨日告白されたこと・・・忘れていたわけじゃない

「うん・・・。ちゃんと話す。
好きな人がいるんだって。」

春奈は真剣な顔で頷いた
「そうだね。
真剣な気持ちは、ちゃんと応えてあげなきゃね。」

私は気持ちを切り替えてバイトに臨んだ

先生との事が私に生きる力を与えてるみたいに
夏の色が鮮やかによみがえってきた

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