Blood Smell
お昼休みの始まるチャイム
私はこの瞬間を待っていた

「じゃ、ごめんね。春奈☆」

「はいはーいい。」

春奈に両手を合わせて
私は生物準備室に向かった

心なしか
足取りも軽い

階段を一番抜かしで上る

パンチラも関係ない
(一応、後ろの確認はしたけどね…)

そして
生物準備室の前で私は息を整えた
髪も整える

ドアに手をかけようとした瞬間
部屋の中から
話し声が聞こえる…


「きゃー!
先生って携帯持ってないのぉ??」

「キャハハ☆」

女の子の笑い声が響く

ズキンと心が痛む…

「いい加減に帰りなさい。
もう、お昼休みは始まってますよ。」

先生の制してる声も聞こえる
無意識にお弁当を握る手に力が入る

そして
春奈の言葉がよみがえった

「あれほどのイケメンだもん
きっと女子がほっとかないって。」

そう

そうだった…

先生はカッコイイ
色白でキャラメル色の髪
色素の薄い瞳
すらりと伸びた手足
白衣の王子様ってよりは
イケナイ☆ドクター…

って私の妄想はどこまで突っ走るんだ!!


女子生徒が出てくるのに気がついて
私は隠れた


なんで…
隠れなくちゃいけないの??

私は
「彼女」なのに…
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