Blood Smell
「今日という今日は
お弁当食べてもらいますよ!!」

私の意気込みは只者ではない
今度こそ目の前で食べてもらうんだ


「…いや、あのさ…。」

先生の顔色が悪くなっていく
明らかに焦っていた

「俺はその…遠慮するよ。」

「えぇ?!

何でですか??」

私はあからさまに傷ついた顔をした

「せっかく
朝早起きして作ったのに…
頑張ったのに…。」

「あ、いや、だからな…。」

さらに動揺する先生

「どうして食べてもらえないんですか?
理由を教えてください!」

ダメ押しの泣き落とし作戦は成功した
先生は行儀良く私の前に座りなおす

「わかった…。
話すよ。」

勝った!!
私は心の中でガッツポーズをした


「俺たちの主食はわかるよな?」

大きく頷く
「血でしょ?」

「そう。
だから基本的に人間と同じ食べ物は食べないんだよ。

ごめんな?
別に冴の弁当を食べたくないわけじゃない…。

分かってくれる?」

こんな表情
私以外の生徒は見れないはず

先生がこんな風に懇願してくれるの
私だけの特権だと思っていてもいいよね

「わかった…。
無理言ってごめんなさい。」

「いや、いいよ。」

そう言って先生はおもむろに
弁当の包みを解き始めた

「…え?
先生っっ!?」
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