Blood Smell

私は窓の鍵を開ける

「こんばんわ。お姫様。」

妖艶な声と素敵な微笑み
星空を背負って
私だけのヴァンパイアがやってきた

「いらっしゃいませ。ご主人様。」

私の丁寧な迎えに少し戸惑って先生はベッドに座る

「…何のまね?」

先生の前に立って
スカートを持って挨拶をするまねをした

「メイド喫茶でございます。
ご主人様。」

私のしぐさに先生は目を細めた

「可愛いメイドだ。
ご主人様の命令は…絶対だよな?」

「え?」

私が顔を上げたとき先生は目の前にはいなかった
変わりに
耳元に冷たい吐息がかかる

「ひゃっ!!!」

私はあまりの驚きによろめいてしまった
がっしりと
幹のような腕に抱きとめられた

「大丈夫か?メイドさん?」

「…もう!ずるいよぉ…。」

得意げに微笑んで先生は私を抱き上げる

「どっちがご主人様だか分からないな…。」

先生は私の髪にそっとキスをした

「いつも俺はお姫様の言葉に逆らえない。」

先生は私をベッドに座らせて
右手に口付けた

「何なりとお申し付けください。
…お姫様。」

きっと
どこのメイド喫茶にも執事喫茶にもいないだろう
この瞳には何一つ嘘はない
私だけを思ってくれてる

「…キスして…」

そっと
先生の手が私の頬を包む

そっと唇が触れた

先生の舌が私の唇の輪郭をなぞる
その冷たさに体が震えた

もう一度唇をあわせて
先生は私を抱きしめる

「…文化祭、メイド・執事喫茶やるんだって?」

先生は初めからお見通し…
本当にかなわないなぁ


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