Blood Smell
お店は大盛況満員御礼

私たちは行き着くまもなく走り回って
ご主人様とゲームしたり
お話したり

あっという間に午前の部が終わった

皆が休憩に入る中
私は最後にデリバリーに出た

メイドのカッコで校内をうろうろしているのは
かなり目立つ…

いそいそと
コーヒーをバスケットに入れて
配達先へと急いだ

「……あれ?」

これって…
届け先は生物準備室?!

生物準備室や実践室のある北側の校舎は
一般者は立ち入り禁止にされていた

そのため
準備室の周りは人一人もいなかった


今度はしっかりノックをして
「はい。」
返事を聞いた

「失礼します。
3-C(桜喫茶)デリバリーです。」

そこには白衣を着ていない先生がいた

「ありがとう。メイドさん。」

先生は微笑むと私の置いたコーヒーを手に取った

「え?
先生って飲めないんじゃないんですか?」

「誰が俺が飲むなんていった?」

そう言って
ミルクと砂糖を入れたコーヒーを
私に差し出した

「お疲れさん。」

「これって…私のため?」

私がコーヒーを受け取ると
ポンポンと頭に手を置いて
先生がため息混じりに言った

「他に誰がいるんだよ・・・。」

先生は他に菓子パンを二個用意してくれていた
先生とのランチ
いつもの風景なのに
今日は先生の優しさがすごく伝わる
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