Blood Smell
パンを食べている私を
ほほえましく見守る先生

「なんですか…?」

「いや、上手そうに食べるなぁーと思って。」

そう言って先生は私の口元についた
パンくずをはらった

胸が大きく波打つ
パンが詰まりそうになって
コーヒーをすすった

「…しかし、ずいぶんと可愛い衣装だな。」

先生は私をまじまし見て言う

「すごいですよね?
こんなの恥ずかしくて…髪まで巻いちゃうし。」

クルクルに巻かれて
フワフワ揺れる髪に指を絡めて笑った

「うちのメイドもこういうカッコすればいいのに。」

先生はため息混じりに言う

「え?
先生のうちってメイドさんいるの??」

私は驚きのあまりパンを詰まらせてしまった

「ゴホゴホッッ」

「大丈夫か?ほら、落ち着いて。」

先生に介抱されて一息ついたところで
説明してくれた

「俺の実家はイギリスにある。
親父の生まれ育った家は由緒正しい貴族の家系で
メイドも5人いたんだ。
俺も小さい頃はその家に住んでいらから
メイドに良く世話になったんだ。」


想像がだんだん出来なくなってきた
英国貴族??
でもヴァンパイア…
ドラキュラ伯爵?

「あ、言っとくけど伯爵じゃねーぞ。
ただの中流貴族だ。」

「先生の…家族って…。」

私は先生の様子を疑った
言いたい事はもうすでに分かっているのだろうか
先生はため息交じりに答えてくれた

「その答えは今度な。」

そのときちょうど午後の部が始まるチャイムがなった

「あ。行かなきゃ。」

「頑張ってくださいね。」

「はい。
ご馳走様でした!!」

先生と話せただけで私はパワーマックスになっちゃうよ

でも
先生の一族ってなんだか凄そう…
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