Blood Smell
大理石が敷かれた広いフロア
天井は大きく吹き抜けて
シャンデリアが光り輝いていた

二回へと続く階段は大きく
壁に沿ってカーブを描いている

観葉植物が置かれ
フロアは花の香りに満ちていた

「ようこそ我が家へ。」

先生は微笑んだ

きっと
この家が好きなんだって思った

本当にリラックスした顔

私もつられて微笑む

「やぁやぁ、いらっしゃい。」

学園長先生が奥からやってきた

スーツ姿じゃない学園長先生…

歳の割にはスマートで
ダンディなおじ様
チョイ悪オヤジとかいたけど…
そんなのよりも
全然かっこよくて英国紳士の雰囲気

「あ、お邪魔してます。」

私は緊張して先生とつないだ手をパッと離した
先生はまたすぐにつなぎなおす
私は先生を見上げる
何気ない顔して…

手は離してくれない

「ははは。
愛らしいお嬢さんだね。

修二、女性の嫌がることはするんじゃないぞ。」

「はいはい。」

先生が聞き流す

「エバン、お客様をいつまでこんなところで
立ち話させるつもり?」

今度は栗毛の美しい女性がやってきた
スタイルも抜群で
たぶんほとんどの女性が
この人の横に立つのを嫌がるだろう

髪はきっちり前下がりのボブ
センター分けの前髪からは
大きな美しい瞳が輝いていた

「初めまして。冴さん。
修二の母の愛子です。」

きれいな指がすっと差し出された
私はその細い手を軽く握った

冷たい…

「ごめんなさいね。
気の利かない紳士で。
ランチを用意したのよ。一緒に食べましょう。」

外見とは裏腹に
気さくですごく話しやすい人
そして優しい

「は、はい。
ありがとうございます。」

「母さん、その前に冴に家の中見せるから。」

そういって先生は私の事を
つれて二階へ上がった
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