Blood Smell
広い屋敷はコの字に作られていて
廊下側の窓からは中庭が一望できた

中庭はバラが咲いていて
丁寧にととのえられていた

そして一番突き当たりの部屋で
先生は足を止めた

「ココが俺の部屋。」

そういって
先生は木目調のドアを開けた

私は部屋の広さに驚いた
家のリビングルームくらいはある

そして
南側に面した部屋の
天井から床まである大きな窓には
木製のブラインドがかかっていた

黒いレザーのふかふかのソファーが
部屋の真ん中にL字に置かれ
ガラスのテーブルが
ファーの絨毯に上品に座っていた

壁に寄せられた
豪華なオーディオセット
液晶テレビって何インチまであるんだろう?
畳一畳分くらいの液晶テレビの中で
イルカが優雅に海を泳いでいた

壁にはクローゼットらしき扉と
別にもう一つ扉がついていた

「すごぃ。」

私は唖然として言葉を失う

「座れば?」

先生はきょろきょろする私を横目に
優雅にソファでくつろいでいた
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