Blood Smell
もし、その話が本当なら
「先生の御婆さんさんは…?」

私の質問に先生は
真っ直ぐ前を見つめて言う

「老衰した。
俺が17歳のとき。」

「…そっか。」

それ以上は聞かなかった
おばあさんが本当に老衰なのか
純血のヴァンパイアが動物の血をだけで
生きていけるのか

質問は山ほどある

でも
今はその時じゃない

「ヴァンパイアって寿命があるの?」

「あるさ。
まぁ、はるかに人間よりは長生きするけどな。」

「…先生って本当は何歳?」

私は先生を上から下まで見た

「何歳って23歳?」

「嘘だ!
だってよく150年っていうじゃないですか??」

私の食いつきに先生は笑った

「わかった。
本当の年齢は153歳くらいかな?」

私は唖然として先生を見つめた
153歳??
だって目の前の先生はどう見たって
20代前半の男性…

「俺は生まれたときからヴァンパイアだから
親父が190歳ごろの子供じゃねーかな?」

「ヴァンパイアって老化現象とかないの?」

「あるよ。
ただ人間よりはるかに遅いのスピードで
成長していくから
人間より歳をとるのが遅い。」






「じゃあ、
私は先生より先にオバサンになっちゃう。」

先生はまた笑う

「最終的にはそうなるかもしれないけど
大切なのは未来じゃなくて


今だ…。」

グイッと先生の腕に引き寄せられる

先生の顔が近い…
睫毛が長い
学校よりも
家に来ているよりも
先生の顔が優しい



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