Blood Smell
先生は私を中庭に案内してくれた


色とりどりのバラが咲き誇る

その中庭をぬけて

続く草原


夕陽が頬をくすぐる

先生はオレンジ色に染まる
その姿は妖精
美しくオレンジの輝きを放つ肉体

私は息を飲んだ

「どうした?」

先生はそっと私の手を握った

実態は見えないのに冷たい感触だけが私を包む


その時

急な突風が草原を駆け抜けて飛ばされた葉が私の腕を切りつけた

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