人心は、木漏れ日に似る
「あれー、森の近くの廃屋?

確か、私達も行ったよね、海里君。

赤い石の、指輪みたいな……あったっけ」


ほのみの柔らかな声がして、海里はゆっくりと思い出す。

黄ばんだ白壁の廃屋。

裏手には森。

廃屋の中には、埃と蜘蛛の巣、錆びた机……


「……ああ」

海里がポケットの中を探ると、円い金属が指に触れた。


「廃屋の中の、机の引き出しに……」

海里が、引き出しに入っていた指輪を、江上冬乃へ差し出す。



< 115 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop