人心は、木漏れ日に似る
冬乃は、海里には目もくれずにその指輪へ飛び付くと、指輪を見ながらぱっと顔を輝かせた。

「あった!
あったよ!!

見て先生、これホントきれいでしょ!?」


……感謝なんて、と海里は思う。

冬乃が感謝なんて口にするわけがない、と海里は言い聞かせた。


……それよりも。

感謝云々の問題ではない、と海里は思う。

冬乃は、あまりに思いやりに欠けていた。


海里は確信する。

……自分はこいつが嫌いだ。



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