人心は、木漏れ日に似る
海里は出口へ向かいながら、将樹に言う。

「嫌なら、入らなければいいだろ。

嶋根はむしろ入りたがってたみたいだし」


修学旅行みたいだ、と嶋根平子は言っていた。

巻校は、文化活動が盛んな学校だ。

音楽祭、芸術祭、文化祭が頻繁に行われる。
しかし、修学旅行のような、班活動主体の屋外行事はない。

平子にとって、今回のラリーは貴重な体験に違いなかった。


「だって、サワちゃんは嫌がってたぜー。

こんな所入ったら、服が汚れちゃうしな」

「秋川は喘息無いだろ」


そう言って、海里は出口のドアノブに手をかける。

「海里、ポイントはいいのか?」

「ポイントは外。

よく考えたら、屋内に人が出入りした形跡が無い」

「……はぁ!?」

将樹が思い切り声を上げたので、海里は将樹が咳き込まないよう、ドアを全開にしてやった。



< 24 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop