人心は、木漏れ日に似る
海里は、森に背を向け、なだらかな丘へ向かって歩き出す。

秋川サワと畑みかげは、互いにくっつきながら、海里の後を歩いた。

西城将樹は、おそらく、埃まみれの情けない姿を、女子に見られたくなかったのだろう。
最後尾について、黙って歩いていた。


「……ね、海里君。

次のポイントって、あの丘なの?」

海里の背後から、島根平子が尋ねる。

「……いや。

丘の向こうに川があんだけど、ポイントはその向こう岸。

……丘に登れば、橋があるか、渡れそうな場所はどこか、分かるはず」

海里は、丘の斜面を見たまま答えた。

わざわざ平子の顔を見なくても、声は届くし平子の反応も感じ取れる。

海里には、平子を見る理由が無かった。



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