人心は、木漏れ日に似る
「……行かないの?」

最初に海里へ言葉をかけたのは、島根平子だった。

このラリーに最も興味を示しているのは平子なので、順当である。


「別に。

だってあいつら、行く気無いじゃん」

海里は、いつもの様に覇気のない様子で愚痴を言い、答える。

平子は泣きそうな顔をして、おろおろと海里とサワを見比べた。

だが、それだけ。

無理もない。
大人しい島根平子にとって、主張の強い三人への声かけは、荷が重過ぎる。


「……」


海里は、少しイラついた。

これでは、平子のように真面目に活動している者が、サワ達の様にやる気の無い者の、犠牲になる。

「行くぞ。

来ない奴は置いてく」

海里は低い声でそう言って、川の方へと、丘の斜面を下って行った。



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