人心は、木漏れ日に似る
斜面は意外に急なので、海里は半ば滑るようにして下って行った。

海里が斜面を下り終わって、川岸から丘を見上げる。

島根平子は、おどおどとしたまま、まだ丘の頂上にいる。
出遅れたようだ。

海里が不機嫌だったので、平子は、とっさに着いて行くことができなかったのだろう。

丘の上で、平子が踵を返す。
海里の視界から見ると、平子の姿は丘に隠れた。

数秒待っても、誰も下りてくる様子がない。

だが、付いてきたところで、橋が無いことを知れば、皆濡れることを嫌うであろう。
容易に想像がつく。

海里は、一人で対岸へ渡ることにした。



< 33 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop