人心は、木漏れ日に似る
海里が目を開けると、そこに丘は無かった。

海里の両脇には崖。


砂利だらけの川辺に打ち上げられた海里は、ゆっくりと上体を起こした。

海里は、自分の体を見る。

節々の痛みよりも、濡れて泥だらけになったジャージが、海里をみじめにさせた。



『海里!手!』

海里は、差し出されたみかげの手を、思い出す。

――手を取っていれば、流されずに済んだのだろうか。
海里は、そんなことを考える。

海里は全身泥だらけの状態で、独り、はぐれてしまった。

「皆に……迷惑かけたな」


けだるい頭を振って、海里は立ち上がる。

一刻も早く皆と合流しなくてはならない、と海里は考えて、上流へと砂利道を歩いた。



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