人心は、木漏れ日に似る
海里がしばらく歩いていると、風に吹かれて、服は半乾きになった。

海里が、無造作に服の泥を払っていると、頭上から声が振ってくる。

「あー!

あんた!止まれ!」

無遠慮な大声。

誰かと思い、海里は立ち止まって崖上を見る。


海里のいる川岸とは反対側の崖に、女生徒が立っていた。

やや長めの髪をなびかせて、見下ろすというより、見下す形の姿勢。

「あんた!

こっち来なよ!」


は?と、海里は思いきり不機嫌そうな顔をする。

女生徒の所へ行くには、川を渡り、さらに、回り道をして登れそうな所を探さなければならない。

海里には、そんな暇は無かった。

班員達と合流しなければならないのだ。



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