人心は、木漏れ日に似る
とりあえず丘へ戻ってから行き先を見極めよう、と海里は結論づけて、上流を見る。

川辺に似合わない派手な色が、海里の視界に入った。



やれやれ、と海里は息をつく。

サワと将樹を先頭に、みかげ、ほのみ、平子が、川辺を下流へと歩いていた。

サワと将樹は、雑談に華を咲かせていて、海里に気付いた様子は無い。

ほのみと平子は、先頭の二人の陰になっていて、海里からは、顔すらろくろく見えなかった。

みかげは、サワに何事かを呟いた後、海里に一瞥をくれたが、すぐにまた、何事も無かったかのようにサワへ視線を戻す。


五人とも、どこをどう見ても、流されて行方不明の班員を探す態度ではない。

――あいつららしい、態度だな。

だが、態度はどうであれ、サワ達は、ポイントに目もくれずに、下流にいる海里の下へやって来た。

海里は、黙って班員達の方へ歩く。



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