人心は、木漏れ日に似る
海里は、班員達の近くまで来ると、立ち止まった。

「皆、ごめん」

海里がそう言うと、サワはちらりと視線をくれる。


サワは、荒々しくため息をついた。

「全くもう、疲れた!

あんたのせいで、こんなに歩くはめになったんだからね!」

なら俺を置いていけば良かっただろ、と海里は思うが、口には出さない。

海里は、サワほど不満をストレートに表せる人も珍しい、と思う。

「海里、せっかくみかげちゃんが助けに入ってくれたんだから、ちゃんと上がってこないとダメだろ」

将樹が呆れ顔で言う。

「いいよ、別に。

死ななかったみたいだしね」

仏頂面のみかげ。

怒っているのは間違いない。

「でも、あの時のみかげちゃん、速かったよね。

さすが志賀体って感じで」

ほのみは、のほほんと笑っている。

そういえば、志賀体は体育専科の学校だった、と、海里は今更ながら思い出す。

「ごめんね、……私が、皆に知らせるのが遅れたから……。

皆も、海里君も、ごめん……」

平子は俯く。

だが、平子の謝罪を遮るように、将樹とみかげが口々に叫んだ。

「平子ちゃんは、全然悪くねぇって!」

「そうだよー、全てはコイツのせい。

海里くーん、謝れ」

笑顔のみかげと、上目遣いに伺う平子。


「ごめん」

頭を下げて、海里は謝った。



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