人心は、木漏れ日に似る
海里の班は、再び歩き始めた。

「でー、次のポイントはぁ?

私疲れたから、最短距離にしてよね」


海里は、ほのみから渡された地図を横目に見ながら、サワの文句を聞き流す。

言われなくても最短距離を取りながら、海里は、後ろの班員達の声を聞いた。


――こいつらが、俺を助けようとした理由。

それは、自分が同じ班の班員だからだろう、と海里は思う。

面倒でも、多少嫌でも、同じ班の奴だから助ける。

仲間意識というより、班という枠組みによって生まれた、責任のような意識。

ごく自然な行動理由であるし、またそれで構わない、と海里は思う。


「班員」という近しい者へ与えられる、優しい行動。

行動に気持ちが伴っていなくとも、
その行為から優しさが消えるわけではない。



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