人心は、木漏れ日に似る
海里が流されるというアクシデントによって、班員達が「善い人」になったわけではない。

たまたま取った行動が、海里にとって都合の良いものだった、

それだけのこと。

サワも、将樹も、みかげも、班員が揃わないと好ましくないから、海里を探した。

ただ、それだけのこと。

平子は、海里に恨まれるのが嫌で、俯いただけ。

ほのみに至っては、何が起こっても、全く気にしていないようだった。

それだけのこと。


そんなものだ、と海里は思う。

――優しくなくて、構わない。

――誰にでも優しい一面がある、それが分かっただけで、十分だ。


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