人心は、木漏れ日に似る
「あれ?

海里君、ご機嫌じゃん」

いつの間にか海里の脇にいたほのみが、口元の緩んだ海里の顔を覗き込んで、微笑む。

「よかったぁ。

海里君てば、ずっとムスッとしてるんだもん。

怒ってるか、ラリーがつまんないのかなー、って思ってたんだよ?」

「当たり。

両方だった」

海里が、背の低いほのみを見下ろして言うと、ほのみは目を弓なりにした。

「あれー、過去形じゃん。

やったね」

何が、と海里が問うと、ほのみは手を後ろで組み、海里に向き直る。

「私が嬉しかっただけ。

それだけ」

ほのみはそう言うと、平子の方へ戻っていった。



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