人心は、木漏れ日に似る
秋川サワが、あからさまに嫌そうな顔をする。

横でその様子を見ていた将樹は、サワに同調した。

「行くのかよ?海里」


だったらどうしたいんだ、という文句は、海里の腹にしまわれた。

代わりに口からは、冷静な説明が述べられる。

「しばらく川沿いを歩いたけど。ここが一番、幅が狭くて浅い。

ポイントは向こうだし、渡るならここだろ」


嶋根平子が、その言葉に促されるように、上目遣いに目線を上げる。

「それなら……、仕方ないよね」

奥にいるみかげは、黙って様子を見ている。


と、唐突に無邪気な声が上がった。

「渡ろうよ?

私、あの子と話したい」


海里が驚いて振り返ると、声の主ほのみが、対岸を向いたまま、肩越しに班員を見ている。



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