人心は、木漏れ日に似る
「はーちゃん!おっかえりー!」

「はーちゃん言うな」

畑みかげは、早速同じ志賀連出身の女子にからまれた。
班員に背を向けて歩き始める。

はーちゃんというのは、畑みかげのあだ名らしい。


将樹は、やはり同じ学校の男子に声をかけられていた。

「将樹ぃ、なに美人連れてんだよ。

彼女?実はもう彼女?」

「お、そう見える?」

「将樹ウザいー。みかげぇ、助けて」

班員の輪から将樹と抜け、笑顔でみかげを手招きする秋川サワを、はーちゃんは見事にスルー。


海里が畑みかげの鮮やかな変わり身に見とれていると、すぐ隣で弱々しい声がした。

「平ちゃん~」

海里の後ろから、嶋根平子が小さく手を振る。

「あ、みっく~」

平子とみっくが、会いたかったよう、などと言い合う姿は、何となくほほえましい。



< 65 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop