人心は、木漏れ日に似る
みかげ、将樹、サワ、平子。
皆、海里に背を向けて去って行く。



水音。

背中。



気が付くとほのみは、海里の目をじっと見ている。

「ねえ、海里君は」

海里の顔を覗き込む視線。

追い縋る声。



海里は、ほのみから逃れるようにしてその場を去った。



……おい塀河、お前独りで弁当食うのか。

遠足の時の、担任の質問。
そうだけど、と少年は答える。

……そうか、お前、友達いないんだな。


いなくていい。

欲しくもない。


それなのになぜ逃げたくなるのか、海里には分からなかった。



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