人心は、木漏れ日に似る
海里は、雑魚寝の部屋を抜け、無人のベランダへ出た。

人のいない所が、海里の避難所。

海里はそこで、何を考えるわけでもなく、ただひたすらぼうっとして過ごす。

それが不毛だとは、海里は思わない。

特別意味の無い雑談にエネルギーを費やすよりは、ずっと効率的だという考えだ。


「……」

虫が多い。

海里は、ベランダを避難所にすることをあきらめた。


とりあえず、部屋を出て避難所を探すことにする。

が、間もなく、ほのみに見つかった。


「あ、海里君。

ちょっとこっち来てくれない?」



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