あの日
「・・・なあ闘馬」
 藤堂が切田に問いかける。
 「なんだ?」
 「あいつどうなんだ?」
 「そうだな、どんどん速球で押すタイプだコントロールもよく本格派だ、だが・・・」
 「だが?」
 「スタミナに難あり・・・」
 「スタミナか・・・」
 「よーしいいぞ」
 幸次の声が響く。
 大きく振りかぶって、指先に力を込める。
 幸次のミットが大きな音を立てる。
 グランドが静まり返る。
 「くーーーーーーーーーーーあーーーーーーーーー」
 幸次の叫び声が響く。
 そして監督が歩いてくる。
 「ほおー次の試合から投げてみるか?」
 「えっ!いいんですか?」
 「ああ、鈴木もな」
 「えっ!いいんですか?」
 「二人とも一緒の驚きかたじゃの~、まあがんばるんじゃぞーー」
 「はい!」
 60歳ぐらいの優しい口調のおじいちゃん。
 聖堂高校監督大蔵吉造、昔甲子園に行ったとか行かないとか・・・
 とにかく名監督なのは確かだ、指導力も高い。
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