あの日
そして、切田の打席が来た。
 バッターボックスに立った時の威圧感は半端じゃない。
 そしてピッチャーからボールが放たれた。
 そのボールは一瞬で柵を越えていた。
 そして8回を迎えた中学校は7回までだから未知の世界だ。
 「はあはあ、やべ~疲れてきた」
 「そろそろか・・・」
 近藤がつぶやく。
 ここまでは0点に抑えてきたがこれからが高校野球の恐ろしさだった。
 「ここで負けてらんねぇだよ!」
 おれは力いっぱい投げたが力が入らなかった。
 俺から放たれたボールは激しい金属音とともに柵を越えていた。
 「近藤・・・」
 庄司が近藤に問いかける。
 「そう、木座希の弱点はスタミナですよ」
 その回俺は6失点で降板した。
 大蔵が話しかけてくる。
「初登板にしては良かったぞ、あとは自分の欠点を見つめなおすんだな」
 「はい・・・」
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