あの日
第10章
そして冬を越え春がやってきた。
春、その季節は別れの季節であり出会いの季節でもある。
長い間聖堂野球部を支えてきた3年生ともお別れだ。
そう、今日は卒業式だ…
3年生が泣いていた。
「何泣いてんすか、センパイ…」
俺は冷たく言い払った。
「おい、木座希」
切田に呼ばれた。
「はい」
「これからのエースは間違いなくお前だろう」
「…」
「しっかり守れよエースの座」
「言われなくても守りますよ」
「はは、そうだな」
「当たり前です」
「がんばれよ」
「はい」
俺と切田は握手を交わした、笑みを浮かべながら。
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