ただ今、政略結婚中!
「上半身が裸ぐらい普通だろう?」


「私には普通じゃないんですっ!」


面白がってわざとしているに違いない。


「何を期待しているのかな?亜希さん」


笑みを浮かべながら近づく彼。


濡れた黒髪の隼人さんは男の色気を感じさせる。


そんな恰好で歩くなんて、フェロモンの大放出じゃないのっ!


「何も期待なんてしていませんからっ!」


赤くなったであろう顔を見られないように立ち上がると、ダイニングキッチンを出ようとした。


出るには彼の横を通らないとならない。


半ば俯き加減でドキドキしながら彼の横を通り過ぎて、リビングルームに行くと、隼人さんもゆっくりとした足取りで付いてきた。


「寝室に行かないのか?」


「……隼人さんはどこで眠るんですか?」


「ベッドに決まっているだろう?」


「じゃあ、ここでいいです」


2週間後には結論を出すのに、一緒のベッドで寝たりしたらまた……。



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