ただ今、政略結婚中!
「安心してね?ハヤトをあなたから奪おうと思っていないから」


「は、はあ……」


別れたってことなのかな?


でも別れたのならここでお風呂に入るのはおかしい……。


困惑した顔で彼女を見ていると、笑みを浮かべている彼女は何かを探し始めた。


彼女は寝室のサイドテーブルに近づく。


そこに置かれたボールペンを掴むと、メモ用紙にさらさらと何か書いて私に渡す。


「あさって、私の別荘でパーティーがあるの。ハヤトは仕事で忙しいでしょう?退屈しのぎに気兼ねしないでぜひ遊びにいらして。これを下にいるドアマンに見せれば、タクシーを呼んでもらえるわ。30分ほどで着くから。それとハヤトには内緒にね?忙しい彼を煩わせたくないでしょう?別荘で私達の関係をお話しするわ」


そう言うと、彼女は私に背を向けて着ていたバスローブをするっと脱いで床に落とした。


私がいるのに恥ずかしそうなそぶりもなく、ベッドの上の真っ赤なドレスをさっと身に着けた。


ランジェリーを身に着けないドレス姿は肌に密着して美しい体の線がはっきり浮かび上がっている。


「有名なスターも来るから楽しめると思うわ。あなたと仲良くなりたいの。ぜひいらしてね?」


そう言うと、私があっけにとられているうちに彼女は出て行った。


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