ただ今、政略結婚中!
「ご迷惑かけてすみません……もう……大丈夫です。隼人さんはお仕事をしてください」


その声はかすれていた。


喉が痛いし、どうしようもなく眠い。


「……あの……ベッド、ごめんなさい……」


目を閉じたまま言うと、隼人さんの「くっ」と押し殺すような笑い声が聞こえた気がした。


なにが可笑しいのかな……?


覚えているのはそこまでだった。


さっきよりずっと心地よい眠りに包まれて、眠りに落ちた。



******



眠っている所へ、口の中に何か異物が入って、不快感に思いながらも目を閉じて唸る。


「ぅ……ん……」


その異物を吐き出そうとすると、深みのある声がした。


「体温計だ。少し我慢しろ」


体温計と聞いて、吐き出そうとしていた動きを止める。


ピッと小さな音がすると、口の中の体温計が引き抜かれた。


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