ただ今、政略結婚中!
「嫌、じゃないんだな?」


口元に笑みを浮かべた隼人さんの顔がもう一度、ぐぐっと近づいてくる。


「い、嫌です」


思わずふるふると首を横に振る。


「……今夜は疲れているんだ。ここで寝る。やられたくなかったら男が寝ているとこへ、のこのこ来るんじゃない」


そう言って隼人さんは横になると、目を閉じてしまう。


疲れているみたいな彼は初めて見る。


隼人さんでも疲れるんだ。


「まだいるのか、本当は襲って欲しいんだろ?その気なら相手をするぞ?」


薄目を開けて見つめられて、急いで首を振った私は逃げるように寝室へ戻った。



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