ただ今、政略結婚中!
ここは何も言わずに運ばれていった方が良いのかも……そう思った時、


『ハヤト!』


階下からエステルが小走りでやって来た。


『エス、君がやりたかったことはこれだったのか?こんなことをしても無駄だ。俺たちは終わっている。今後は近づいて欲しくない。彼女にもだ』


隼人さんの流暢な英語は何を言っているのかわからなかったけれど、エステルに言う声は冷たく聞こえた。


『マイケルが彼女を襲おうとしていたなんて、私は知らなかったのよ!誤解よ!それに私はまだあなたをあきらめていない。私があなたの赤ちゃんを生むわ。彼女と離婚して!』


彼女の顔が見られなくて、隼人さんのネクタイをじっと見ていたけれど、所々の単語が気になってしまった。


ベイビー……。


あの男が私をベイビーと言ったのを思い出して、思わず身震いしてしまった。




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