ただ今、政略結婚中!
「医者が3日間はベッドから出てはいけないと言っていた」


「そんなに……?」


「無理をしたからぶり返しただろう?出かけるのは早かったんだ」


昨日のパーティーのことを言われて恥ずかしくなる。


「……」


言葉を探していると、隼人さんの指がパジャマからのぞく鎖骨に触れた。


小さな虫刺されのような跡をなぞる。


「これは俺が付けたものじゃない……奴に償いをさせようか?」


奴って、あの男のことだ……。


ピクッと眉間が反応してしまう。


「償い……って?」


「奴はそこそこの俳優だが、そんな奴はいくらでもいる。手を回せば俳優生命を終わらせることも出来る」


手を回せばって……どれだけ顔が広いの?


でもあの男を思い出させ、淡々という彼に苛立ってしまう。


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