ただ今、政略結婚中!
「亜希さん!」


その声の方向を見ると、数メートル先ジョンが手を振っていた。


グレーのスーツ姿で手に小型のジェラルミンのブリーフケースを持っている。


見ていると、駆け寄ってきたジョンが爽やかな笑顔を浮かべる。


「1週間近くぶりですね?喉が渇いたな。アイスコーヒーでも飲みませんか?」


「お仕事の途中ですよね……?」


「ええ。次のアポまで1時間ほど時間があるんです。少し付き合ってもらえますか?」


断る間もなく、ジョンは私の手を握り歩き始めた。


公園を出た所のカフェレストランへ入り、公園が見える窓際に案内される。


「具合が悪かったって聞きましたよ。もう大丈夫なんですか?」


イスに落ち着くと、ジョンが聞いてくる。


「ええ」


あまり触れたくなくて短く答える。



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