ただ今、政略結婚中!
「まだ調子が悪そうですよ?」


「熱も下がったのでもう大丈夫です」


「そうは見えないけどな?」


じっと見つめられると、泣いたのがばれてしまいそうで、窓の向こうの公園に目を向ける。


「何かあったのですか?」


「え……」


「悲しそうな顔をしていますよ」


ずばり言われてしまい、十分泣いたのに涙が出そうだった。


「エステルの別荘に行ったんですね?」


「どうしてそれを……?」


「僕はエステルの友人ですから」


そう言うと、大きなグラスに氷がたっぷり入ったアイスコーヒーを飲む。


別荘に行ったことを知っているのなら、あの時の一部始終をジョンは知っている……?


「亜希さんを悲しい顔にさせているのは彼女のせいですよね?」


「え……」


ジョンの言葉に戸惑う。


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