ただ今、政略結婚中!
隣の部屋に入ると、隼人さんは電話中だった。


「……」


電話中では何も言えず、ただ隼人さんを見つめる。


受話器を置いた隼人さんは、ドアの前で困惑している顔の私を見た。


「……気づかずに悪かった。ドレスを手配したから、すぐに持ってくるだろう」


「わ、私こそごめんなさい……」


思いがけなく謝られて戸惑ってしまう。



******



シャワーを浴びてさっとお化粧をしてバスルームから出ると、寝室で隼人さんは待っていた。


「急いで支度してくれ」


届けられたドレスの箱を、私の胸に押し付けると隼人さんは出て行った。


電話をかけてから15分ほどしか経っていないのに、ドレスがもう届いたことに驚いてしまう。


こちらの人はのんびり気質で、敏捷に動かないって聞いていたから。


それほど隼人さんは重要人物なのかも。


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