ただ今、政略結婚中!
「ま、まだって言ったでしょう!?向こうへ行っててくださいっ!」


脱いだバスローブを慌てて胸元にあて、なんとか下着姿を隠す。


必死に身体を隠そうとしている私とは反対に、楽しげな顔で近づいてくる隼人さん。


追い詰められた小動物のように、さらにじりじりと部屋の隅に逃げる私。


「む、向こうへ行って」


ブラックフォーマル姿の隼人さんはきりっと凛々しくとても素敵で、いつもと違う前髪を後ろに撫でつけているせいかいつになく意識してしまう。


「亜希」


私を壁に追い詰めた隼人さんの楽しげな眼差しは真剣な表情に変わっていて鼓動が大きく波打った。


「隼人さん……?」


隼人さんが頭を傾けたと思ったら、唇を塞がれていた。


「んっ……」


強引なキスではなく、私の反応を確かめるような啄むキスだった。


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