ただ今、政略結婚中!
楽しげに笑うジョンを見て気分がいくらかリラックスした。


「いいえ、本当に美しいですよ」


お世辞でも嬉しい。


笑みを浮かべた時、素肌の肩に手が置かれグイッと引き寄せられる。


「ジョン、俺の妻を口説かないでくれないか?」


「口説くもなにも、本当のことを口にしたまでさ。隼人さんが羨ましいよ」


ジョンは真面目な顔で言う。


「羨ましかったら早く結婚するんだな。失礼するよ。まだ挨拶が終わっていないものでね」


置かれた肩に力が入り、ジョンに何も言えないまま賑やかな輪の方へ連れて行かれる。


「あんな言い方、失礼です!」


賑やかな輪へと向かう途中、我慢できなくなって言った。


「口のうまい男を信用するなと、教えてもらっていないのか?」


「冷たすぎる男を信用するなって教えられました」


「冷たすぎる男って俺のことか?」


隼人さんの足が止まり、じっと私を見る。


その端整な顔に笑みが浮かぶ。

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